Update 2:「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」レビュー、高品質で贅沢なエンタメ系ホラー体験が楽しめるSupermassiveの集大成的傑作

2022年6月13日 12:55 by katakori
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UPDATE 2:6月13日12:55

先日ご報告したPC版(グローバルで規制なし)と国内コンソール版(規制有)の違いについて、新たにPlayStation版を2周プレイし、PC版とのゴア描写について比較しました。

結果的に、今回のレビューにおいてまさに筆者が「これは規制的にOKなんだろうか」と感じた3つのシーンのうち、最もゴア描写が激しかった1箇所のみ全面的なモデルの差し替えが行われていたものの、それ以外に大きな規制は見当たりませんでした。

血しぶきの量も海外版と変わらない様子で、前述した残りの2シーンに含まれる、とあるものがゴロンと転がるような描写も全く海外版/無規制PC版と同じでした。また、ストーリー上重要な意味を持つ残虐シーンにおいて、アングル変更で意味が失われるような調整も見当たらなかったことから、国内コンソール版の規制はかなり攻めた内容であり、非常に満足な仕上がりだと考えています。

余談ながら、読者の方からデラックスエディションの特典として入手できる“ゴアフェスト”オプションについて質問を頂いたので、こちらで一旦同オプションの仕様についてご紹介しておきます。

ムービーモードの“ゴアフェスト”は、シーン毎のゴア描写がより凄惨なものになる“ゴア強化”のようなオプションではなく、最もゴア描写が多く含まれるルートを辿って再生されるディレクターズカットのようなオプションであり、シーン毎のゴア描写自体に変化はありません。

つまり、“ゴアフェスト”の有無や購入したエディションによってゴア描写の内容が変化することはなく、通常版であってもゲームプレイ時の選択によって“ゴアフェスト”と全く同じ展開や体験、同一のゴア描写を楽しむことができるわけです。

以上、PC版とコンソール版の表現規制の差に関する報告でした。以下、更新前の本文となります。

UPDATE:6月8日23:50

前回のハンズオンプレビューと今回の製品版レビューにおいて、日本語版「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」のゴア/暴力表現規制に関する情報をご紹介しましたが、先ほど2Kから報告を受け、当サイトで確認を行いご紹介していた「国内のPC版とコンソール版、両方に同じ内容の規制が適用される」という情報は誤りだったことが明らかになりました。

最新の確認と報告によると、国内向けのPC版は表現規制のないグローバル版となり、コンソール版については公式FAQにもある通り一部の表現に差異があるとのこと。

誤った情報をお伝えしてしまい大変恐縮ですが、今回のレビューは表現規制のないPCグローバル版のプレイに基づくものとしてお読みいただければと思います。

また、国内コンソール版の表現規制については、現時点で実際に確認できる手立てがなく、筆者としても実際に内容を見てみないと判断できないため、6月10日の正式発売後に改めてプレイした上で、規制の程度について別途ご紹介させていただきます。

以下、一部取り消し線による修正と追記を行った更新後のレビュー本文となります。

「The Quarry」

先日、序盤1時間程度のプレイに基づくハンズオンプレビューをご紹介したSupermassive Gamesと2Kの新作ホラーゲーム「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」ですが、2022年6月10日の世界ローンチに先駆けて2Kより製品版相当のレビュービルドを提供いただき、一足先に本作の全容を確かめることができました。

前回のプレビューでは、タイトルの概要やハリウッド映画級の素晴らしいキャスト、“UNTIL DAWN -惨劇の山荘-”と“The Dark Pictures”シリーズを踏襲するゲーム性、国内向けの表現規制に関するディテール、作品そのものの楽しさ等についてご紹介しましたが、プレイできる箇所が序盤の一部に制限されていたことから、期待値の高さは感じられたものの、肝心のストーリーや選択による展開の変化については未知数のままでした。

今回は「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」のレビューをご紹介するわけですが、まず結論を先に言っておきましょう。

本作は古典的なスラッシャーやスプラッターに代表されるエンタメ系ホラーがお好きな方向けのタイトルで、ゲームプレイそのものに革新性や目新しさはなく、クイックタイムイベントや僅かな探索が主となる操作量の少ない“映画/ドラマを観るようにプレイする”作品であることから、確かに人を選ぶところはあります。しかし、こういったジャンルがお好きな方、少なからず興味がある方、既に近年のSupermassiveホラーを楽しんでいるファンにとって、「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」は誰もが気軽に楽しめる素晴らしい作品で、Supermassiveの原点回帰にして見事な集大成、スタジオ史上最高の傑作といって間違いありません。

また、UNTIL DAWNを楽しんだ(もしくは規制に落胆した)ファンに向けて一言で紹介するならば、本作は「まったく非の打ち所がない“UNTIL DAWN 2”完全日本語版」のようなゲームだとも言えます。

本作は、前述の通りある種のバカバカしさやユーモア、ジャンル映画の様式美的なお約束を多分に含むベタベタのエンタメ系ホラーであり、いわゆる奥深いテーマや重厚なストーリーのようなものは綺麗さっぱり存在しません。が、単に頭をからっぽにして楽しめるスラッシャー系ホラーゲームという訳でもなく、実のところ(第一印象とはやや異なり)非常に巧みな構成や仕掛けでプレイヤーをぐいぐい引き込む、ネタバレがほとんどできないタイプの作品でした。

ということで、ネタバレを極力避けつつ「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」の細部と魅力を掘り下げる前に、まず本作のゴア/暴力描写の表現規制と、レビュービルドをプレイした筆者の感想をざっくりとだけご紹介しておきます。

参考:「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」のアナウンストレーラー

この恐ろしい結末を、作ったのは――あなた。

夏の終わり、ニューヨーク州北部の人里離れた森の中、ハケット採石場のキャンプカウンセラーを務めていた若者たちは、サマーキャンプ最後の夜を過ごします。キャンプ場に残されたのは自分たちだけ。彼らを縛る規則はもうありません。この映画のようなスリリングなストーリーの中で、一晩のパーティは先の読めない恐怖の一夜に代わり、9人のキャンプカウンセラーたちの運命はプレイヤーであるあなたの手に委ねられています。あらゆる場面で生死を分ける選択を迫られ、ストーリーはプレイヤーの選択によって様々に分岐していきます。

「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」の表現規制はどうか(追記:この項の説明は全て規制のないPC版のプレイに基づく情報となります)

まず、ゴア/暴力表現の規制ですが、前回のプレビューでご紹介した通り、国内のコンソール版とPC版には同じ国内のコンソール版には表現規制が適用されるものの、“UNTIL DAWN -惨劇の山荘-”における長い暗転のような処理はないと報じられていました。この点については、2Kの報告通り暗転のような極端な処理がないことがはっきりと確認できました。

表現規制の程度と調整については、記事執筆時点で無規制の海外版がどういう描写をしているのか、比較して確認する手立てがないため、僅かに見られた一部の切断面処理以外、ほとんど具体的な規制の内容を判断することができませんでした。

これは、逆に言うと実際に規制されているのかどうか、判断しにくい程度の調整(もしくは海外版が筆者の想像を上回る過激なもの)だったことを示していて、実際に規制済みの日本語版をプレイしたところ、ゴア/暴力表現に違和感を感じるような箇所はほとんどなく、むしろ“これは規制的にOKなんだろうか”と逆に驚くほど激しい(しかも鮮明かつ大映し)のゴア/損壊描写などもあり、本質的なホラー経験を損なうような印象は受けませんでした。

本作は流血や返り血の量もたいしたもので、前述の立派な描写を含め、人の命がスナック菓子のように軽いエンタメ系ホラーならではの景気の良い残虐シーンをきゃあきゃあ言いながら楽しむことが出来ました。

筆者は、人間の暴力性や恐怖そのものが作品の最も重要なテーマ/核となる場合に限り、そのテーマそのものをゆがめたり、フォーカスをぼやかすような規制には強く反対する立場ですが、こと「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」の規制については、“UNTIL DAWN -惨劇の山荘-”の調整でがっかりした方にも、間違いなく満足できる表現が担保できているとオススメできます。(※ レビューに使用したPC版が規制のないグローバル版だったことが判明したため、コンソール版の表現規制については後日改めてご紹介いたします)

ゲームプレイと経験に対する個人的な評価

細かい掘り下げに入るまえに、声を大にして伝えておきたいことが一つ、とにかく「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」はめちゃくちゃ楽しかった!という事です。

今回のレビューにあたって、たっぷり50時間以上本作をプレイ/鑑賞したのですが、シングルモード1周目の中盤あたりから夢中になりはじめ、1周クリアでどハマり、2周目で驚愕し、ついでにパートナーのおこめとやいのやいのツッコミを入れながらムービーモードを2周ほど堪能した、その全ての経験がそれぞれに違って本当におもしろいものでした。

本作はフル価格の作品で、最初は正直ちょっと高いなという印象だったのですが、50時間以上プレイ/鑑賞してなお、まだ気になる点や試したい事が残っている上、リプレイ(つまり展開の変化)そのものが楽しく、体感的には“The Dark Pictures”シリーズの1タイトル分に比べて4倍近いボリュームがあるのではないかと感じることから、物足りなさは全くなく、この点についても事前の懸念を十分に払拭する仕上がりだったと言えます。

本作の魅力を下支えする幾つかの要素については後述しますが、「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」はゲームプレイからUI/UXデザイン、サウンド、グラフィックス、アクセシビリティ、ストーリー、キャスト、キャラクターの演技、ホラー演出、リプレイ性に至るまで、ほぼ全ての要素が高品質かつ隅々までQoLが高く、革新性こそ持ち合わせていないものの、非常にウェルメイドでプレイしやすい、極めて満足度の高い逸品だと感じました。

個人的には、(一見程度が低く見えてしまいがちな)エンタメ系ホラーというニッチな括りを外せば、同じムービー系ゲームの範疇であるHeavy Rain以降の“Quantic Dream”作品を超えるタイトルが出来上がったのではないかとさえ考えています。

では、何が本作をそこまで魅力的な作品に高めているのか、幾つかの要素に焦点を当てて細部を掘り下げたいと思います。

参考:「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」のゲームプレイ解説トレーラー

やっぱりキャストが凄かった

キャストの破格な豪華さと凄さについては、前回のプレビューでも一通りご紹介しましたが、今回ゲーム全体をプレイした上で、改めてキャストの凄さを思い知りました。

9人の若いキャンプカウンセラー達も素晴らしいのですが、やはりリン・シェイとグレイス・ザブリスキー、テッド・ライミの存在感と怪演ぶりがとにかく凄い!

インシディアスシリーズでは、あんなに可愛いくて優しい繊細な愛されおばあちゃんだった(物理でも戦える最強の霊能力者ですが)リン・シェイの禍々しい狂気の悪女ぶりは、とてもあのエリーズとは思えない見事な凄み。

大女優グレイス・ザブリスキーは、もうそこにいるだけで顔が怖く(近いし)、終始なんだかうさんくさい。

出番も多いテッド・ライミの異常な怪演ぶりは間違いなく本作のMVPで、こういった役者達の演技やエモーションを存分に表現したDigital Domainの見事なデジタルヒューマン/VFX技術は「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」の最も見目麗しい白眉の一つでしょう。

若い主人公達も実に魅力的で、モダン・ファミリーのアレックス役でお馴染みアリエル・ウィンターや名探偵ピカチュウのジャスティス・スミス、奔放なクイーンビーを見事に演じたハルストン・セイジなど、見所を挙げるときりがないのですが、特にイライジャ・ウッド製作のサイコスリラー“ダニエル”で主演を務めたマイルズ・ロビンスの佇まいがとても良く、若い頃のビル・ヘイダーとジム・キャリーを混ぜてちょっとイケメンかつクールにしたような独特な存在感は大きな見所の一つでした。

映画や海外ドラマがお好きな方にとっては、この豪華キャストと役者/デジタルヒューマン演技の饗宴、そして皆の(本当に酷い、つまり最高な)惨殺されっぷりだけでもお釣りがくるような内容だと断言できます。

曲使いが素晴らしい

前回のプレビューにて、エイミー・マンの超名曲“Wise Up”のカバーを天才的に酷い使い方で爆笑させるシーンについて言及しましたが、「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」の全編をプレイして分かったことは、前述の曲使いが完全に確信犯だったことでした。

ネタバレを控えるため、具体的な言及は避けますが、本作は素晴らしいライセンス曲を一見不似合いなシーンと組み合わせて使う絶妙にミスマッチな演出に長けていて、二度と忘れられない印象的なシーンを作り上げることに成功しています。

長めのタイトルアバンを経て描かれる外連味たっぷりのオープニングシーンを含め、Wise Up級に笑ってしまう最高のシーンが他にも幾つか存在するのですが、その他の曲使いも非常に洗練されていて、現代的なインディフォークやR&B系バラード、ローファイなガレージパンク、アリアナ・グランデ!、幾つかの古典的名曲、南部/ヒルビリー的怖さを引き立てるダークカントリーまで、要点を押さえた曲使いはビデオゲームらしからぬセンスで、ゲームプレイを大いに盛り上げてくれます。

「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」の特徴として、スマホやSNSが存在する2021年の夏を描く一方で、全体的に80年代を想起させるようなデザインを随所に盛り込むことで、意図的に時代感を困惑させるアプローチが挙げられますが、本作の選曲はこれに極めて大きい影響を与えており、部分的に集中して80年代ティーンスラッシャーの型を逸脱することで、非常に不思議な本作独自の浮遊感のようなものを生み出していることが印象的でした。

「The Quarry」

「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」は単なる王道スラッシャーホラーではない

サマーキャンプで起こる惨劇の一夜を描くという点において、本作は確かに由緒正しい(13日の金曜日やサマーキャンプ・インフェルノ、悪魔のいけにえ、レディ・ジェイソン 地獄のキャンプ、スクリーム等に代表される)ティーンスラッシャーホラーであるわけですが、実のところいわゆるB級/C級スラッシャー映画のジャンルとムービー系ビデオゲームの相性はそれほど良いわけではありません。

スラッシャー映画的な体験とカタルシスを重視/優先するならば、やはり90分程度で登場人物達がテンポ良く惨殺されるようなコンパクトな爽快感があってしかるべきですが、これをビデオゲームで成立させるには、やはりボリューム的にも経験的にも難しいように感じます。

「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」は、こてこてのティーンスラッシャーをベースに、幾つかの非常に巧妙なツイストや他ジャンルの要素を組み合わせることで、(登場人物達が映画ほどさくりさくりと絶命するわけではない長尺に十分耐えうる)作品の全体像を作り上げていて、スラッシャー映画の快楽至上主義的かつ直線的なカタルシスではなく、ストーリーの謎やサスペンス、登場人物達の関係性、ストーリーテリングの構造的手法、プレイヤーによる推理によって物語を駆動させるタイプの作品となっています。

これこそSupermassiveが長年追求してきた映画的ムービーゲームのフォーミュラそのものと言えるわけですが、「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」はその手法の出来自体がスタジオの過去作よりも端的に優れていて、原点回帰かつ集大成的な大作として、全体的な経験を一段上の高みに到達させることに成功しています。

本作は、ホラー映画愛に充ち満ちた作品である一方、従来の手法を突き詰めた「映画では絶対に実現できない独自のビデオゲーム的体験」を完成させたタイトルでもあるわけですが、Supermassiveはこれを具体的にどういったアプローチで実現したのか、次はゲームプレイの具体的なディテールに焦点を当ててみます。

絶対にリプレイしたくなる仕掛けと巧みな選択/結果システム

「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」をプレイしてまず感じたのは、プレイヤーに提示される選択の候補が従来よりも結果を安易に予想させない、かなり曖昧なものだったということです。

直近の過去作である一連の“The Dark Pictures”タイトルでは、死に直結するような選択が割と分かりやすく把握できるため、プレイヤーが物語を自分のコントロール下に置き、ある程度意図的に制御することが可能ですが、「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」では、プレイヤーが作中の登場人物達と同じように暗闇へと放り出され、(特に1周目は)何が起こるか分からない状態で事態に身を委ねるしかありません。

前述した“映画では決して実現できないビデオゲーム的体験”というのは、とどのつまり直線的な時間進行の支配から逃れ、プレイヤー自身が物語に介入することであり、「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」はこれを膨大な数のマルチエンディングを含む選択と結果、(UNTIL DAWNにおけるバタフライエフェクト的)変化のインタラクションだけではなく、極めて高いリプレイ性の担保によって実現しています。

ネタバレを回避するため、この高いリプレイ性を実現したストーリーテリングの構造的/複層的な手法に関する具体的な言及は避けますが、本作には一周クリアしたプレイヤーが「絶対にリプレイしたくなる」見事な仕掛けが用意されています。

この“絶対にリプレイしたくなる”仕掛けと、実際のリプレイが楽しいかどうかはまた別問題であり、二者択一の選択と結果、その因果関係が浅く分かりやすいものであればあるほど物語そのものがプレイヤーの制御下に置かれてしまい、ホラー映画的なカタルシスやスリリングさ、推進力は失われてしまいます。

しかし、本作は前述した“曖昧な選択と結果”のデザインがプレイヤーを決して安心させず、重層的なストーリー展開や変化の豊富なバリエーションによって、リプレイそのものを極めて楽しい経験として再提示しているのです。

とはいえ、リプレイはある程度のゲームプレイ時間を要するわけで、ある種のめんどくささがつきまとうものですが、本作にはさらにこれを軽減する驚くべきシナジーが用意されていて、ムービーモードが単なる賑やかしの添え物ではない、実に素晴らしい役割を果たしています。

つまり、プレイヤーはムービーモードを利用することで、プレイの労力を最小まで抑え、1周目のプレイとは全く異なる展開を簡単かつ手軽に楽しむことができるわけですが、プレイ1周とムービーモード1周では謎が余計に深まってしまい、あれもこれも気になり過ぎて結局2周目のリプレイが避けられない!という状況にまんまとはめられてしまうわけです。(※ 個人的には最初に全員死亡パターンのムービーモードで1周してから、プレイを始めるのもオススメです)

さらに、本作の登場人物達には、生存/死亡による二極化した状態だけでなく、複数の死亡バリエーション、さらには生存/死亡だけではない非常に重要な仕掛けも存在しており、まるで生き物のように姿を変えるリプレイが本作の大きな魅力の一つとなっています。

余談ながら、主人公達が死なない生存ルートにもしっかりゴアゴアなスラッシャー的カタルシスとご褒美が用意されているのも実に好印象で、選択による生死の変化によってホラー映画的楽しさが減じないことも素晴らしい点でした。

圧倒的なプレイしやすさが生む柔軟なゲームプレイ体験

また、リプレイを念頭においた“遊びやすさ”やユーザーエクスペリエンスも非常にすばらしく、本作はシングルプレイヤーとムービーモード、協力プレイモードそれぞれのプレイスルーが個別に細かく自動セーブされるため、複数のプレイを同時並行的に進めることができます。これは地味ながら非常に魅力的で、UI/UXもシンプルかつ合理的にデザインされていることから、ソロの周回を楽しみながら、友人やパートナーと遊ぶ時はムービーモードや協力プレイで別の展開とプレイスルーを続けるといった柔軟なプレイが問題なく楽しめます。

「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」は、主体的に楽しめるシングルプレイヤーモードと映画的に観るムービーモード、わいわい楽しめる協力プレイモード、その全てに異なる役割と意義がしっかりと割り当てられていて、プレイヤーが任意で自由に横断でき、ゲームモード間に主従が存在せず、全てが添え物ではない同等のコンテンツという意味でも、極めて良く出来た作品だと言えるわけです。

また、前回のプレビューにおいて、ムービーゲームである本作の操作量やいわゆるゲーム性の少なさが(三人称でも一人称でもない)独特の没入感を生んでいるとご紹介しましたが、これはゲーム全体をプレイしてみると、前述の高いリプレイ性も相まってより強く印象に残る要素でした。

一般的なゲーム性が乏しいにも関わらず、ビデオゲームをプレイすることの楽しさと没入感が強く得られるという特性は、“プレイしやすさ”にも大きく影響しています。

本作にいわゆるゲーム的な難しさというものは一切存在しません。プレイメカニクスの一つであるクイックタイムイベントにしても、(ゲーム自体に不慣れな場合、コントローラーとにらめっこになりがちな)複数のフェイスボタンを押し分けるタイプではなく、方向キーの選択もしくは単一のボタン連打(特に一生懸命連打する必要もありません)のみに制限され、失敗してもストーリーそのものは問題なく進行することから、本作は文字通り“誰でもプレイできる”ゲームとなっています。

さらに、そのQTEやボタン連打にさえ時間制限の廃止や自動成功といった細かなオプションが用意されていて、どんなにビデオゲームが苦手な方でも問題なくストーリーと映画的ゲーム体験が堪能できるアクセシビリティ設定がしっかり充実しています。

これは、ゲームプレイに対する障壁を極限まで下げるだけでなく、どんな友人やパートナーであっても(互いに興味さえあれば)気軽に協力プレイが楽しめるデザインをしっかり担保してある証左でもあり、一見目立たないながらも「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」の非常にウェルメイドな出来の良さを象徴する重要なポイントだと言えます。

「The Quarry」

「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」の総合的な評価

色々と細かな事を書いてきましたが、結局何が言いたいのかというと、「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」はいわゆる一般的なゲーム性のようなものに乏しく、映画的体験に特化しているが故に、全ての要素がゲームプレイの楽しさを直接的に向上させる重要な役割を担っているということです。

アクションゲームであればレスポンスやアクションのメカニクスが、RPGやシミュレーションであれば、システムやルール、プログレッションといった要素が表面的な見た目よりも重要であり、アドベンチャーが魅力的な物語を描くために映画的リアルを追求する必要はないわけです。

近年の技術的な進化によって到達したデジタルヒューマンのフォトリアルな描写や非常にリアルな感情表現と演技、リアルなライティングやシェーダーによる優れたグラフィックス、圧倒的なプレイしやすさ、シンプルかつ十分なUI/UX、アクセシビリティの充実、臨場感のあるサウンド、素晴らしいキャスト達、異なる映画的体験の味わいをもたらすビジュアルフィルタ、素敵なサウンドトラック、相変わらず見事な出来としか言いようがない2Kの日本語吹き替えを含むローカライズ品質、それぞれに意味のあるゲームモード、充実のプレイボリューム、そしてめっぽう面白いストーリー!これらの全てが等しくゲームプレイの中核を構成する要素として一体となり、「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」というゲームプレイ経験全体を見事に構成している様は感嘆に値する偉業だというほかありません。

また、本作は誰でもプレイできるという点において、新しく誕生した素晴らしい協力ゲーム/パーティゲームの一つでもあります。

近年の協力ゲームジャンルにおける金字塔と言えば、やはりJosef Fares監督の新作“It Takes Two”であり、他に類のない見事な傑作に違いありませんが、離婚危機の夫婦を描くという点では、なるべく関係の近いパートナーや友人の方が作品のテーマをより深く味わえるでしょう。

その点、「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」は深いテーマなど全くない、面白さと娯楽経験に特化したエンタメ系ホラーですから、どんな友人や付き合いの短い恋人であっても気兼ねなく誘うことができます。

つまり、本作は万人に勧められる極めて貴重な納涼デートホラーゲーム(またはパーティゲーム)でもあるわけですね、凄い!

しっかり怖くて面白い「クアリー ~悪夢のサマーキャンプ」は、一人で謎解きに没頭してよし、映画のように観てもよし、わいわいみんなで遊んでなお楽しいというエンタメ系ホラーゲームの傑作です。オススメ!

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