“バルダーズ・ゲート3”を生んだ「Larian Studios」の次回作は2030年までにお披露目予定、AIの開発利用に関するSwen Vincke氏の見解も

2025年4月28日 10:39 by katakori
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「Larian Studios」

先日、新サブクラスやフォトモードを含む“バルダーズ・ゲート3”の大規模最終コンテンツアップデートをリリースした「Larian Studios」ですが、コードネーム“Excalibur”と呼ばれる未発表新作を含む2つの新プロジェクトに取り組んでいるスタジオの動向に注目が集まるなか、新たにLarian StudiosのボスSwen Vincke氏がGameSpotのインタビューに応じ、次回作のアナウンス時期やビデオゲーム開発のAI利用に関する自身の見解を提示し大きな話題となっています。

GameSpotが公開した1時間弱に及ぶSwen Vincke氏の貴重なインタビュー

Swen Vincke氏「次回作は2030年までにお披露目したい、でなければ妻に離婚される」

“バルダーズ・ゲート3”よりも遥かに野心的とされる次回作(これが前述の“Excalibur”かどうかは不明)のアナウンス時期について言及したSwen Vincke氏は、「まだ内容は言えませんが、間違いなく5年後には、この新作について話せることを願っている」と発言。

氏は現在のLarian Studiosが複数のRPGを並行して制作できる体制を整えていると挙げた上で(具体的には、企画を行う小規模グループと開発を担当する大規模グループの仕事が互いに滞らない流れ、つまりプリプロとフルプロダクションの過程で待機が生じないフローを用意している)、5年後の2030年には「これが今作っているゲーム1。で、これとは全く別の新作も作っている、と言えればいいんだが、ここで全く違う別のゲーム2を作っているというのが重要なポイントだ。ゲーム2の準備が整うころには、(現在Larian Studiosが構築している開発フローによって)既に次のプロジェクトが控えているんだ」と説明。これを実現することが目標だと語った氏は、実際には上手くいかないこと、悲惨な状況も生まれるだろうが、自分たちが心から興奮できることに、燃え尽きることなく取り組むことが何よりも重要だと伝えています。

蛇足ながら、Swen Vincke氏は次回作の発表に5年以上かかったら妻に離婚されてしまうと冗談を飛ばしています。

参考までに、傑作“バルダーズ・ゲート3”のプロジェクトにまつわる時系列を整理しておくと、計画が始まったのが2017年後半頃で、最初のティザーが2019年5月。その後、2020年10月に早期アクセス版のリリースを経て、2023年8月31日に製品版の発売を迎え、2025年4月15日に最終コンテンツアップデートを配信。計画の始動から製品版の発売まで、約5年の期間を要していました。

AIによる自動化は「誰もやりたくないタスク」に活用

近年、ビデオゲーム開発ビジネスにおいて大きな議論を呼ぶトピックとなっている、機械学習や生成AI等の利用とその可能性について言及したSwen Vincke氏は、既存の開発者をAIに置き換えるのではなく、開発者のクリエイティブをより強化するための活用を考えていると説明。主な利用法として、以下のような3つのシチュエーションを挙げています。

  • 誰もやりたがらないタスクの自動化:モーションキャプチャーデータのクリーニングや音声編集、特定のアニメーションをサイズの異なるキャラクターのアニメーションに再利用するためのリターゲッティング等、機械学習がうまく機能する分野。
  • ホワイトボクシング:これは、機能やコンテンツの正式実装前にその内容を試すフェーズを指していて、この段階で機械学習を用いることにより反復作業を軽減させ、開発そのものを加速させることが可能となる。
  • ゲームプレイそのものの拡張:Swen Vincke氏はスタジオがまだその段階に達していないことを前置きした上で、ゲームプレイそのものにAIを活用できるケースを挙げている。RPG開発者が真に望むものは、プレイヤーの主体性に対する反応性の拡充であり、予期しなかった順列の組み合わせやプレイヤーの行動に対する反応はゲームプレイ体験を確実に向上させる要素になると伝えている。

こういったアイデアを挙げたSwen Vincke氏は、自動化の活用が意味することは、開発者が別の何かに取り組む時間と、制作されるコンテンツの量が増えることの2点だと挙げ、これにより、スタジオはより複雑なことに取り組めるようになり、この複雑さは物事を面白くすると伝えています。

また、複雑さと反復作業に関係する具体例を挙げたSwen Vincke氏は、“ナラティブの検証”と呼ばれる工程を挙げ、例えば300の選択肢を用意し、順列の組み合わせを用意したが、どこかに正しくない組み合わせが残っていないかを検証する作業だと説明。これには非常に多くの時間が必要となる一方で、あまりクリエイティブとは言えない作業だと語った氏は、ここに多くの自動化を盛り込み反復的な開発を加速できるようプロセスとパイプラインをより効率化したいと説明しています。

Swen Vincke氏によると、AIの活用はこういった自動化による開発者の手間を省くこと、クリエイティブの強化に焦点を当てるものであり、Larian Studios作品において生成AIによるアートワークを目にするようなことはないとのこと。

なお、AIが実際にコンテンツそのものを開発するような時代が来るかという質問に応じたSwen Vincke氏は、もしそうなったとしても、AIが“競争上の優位性”をもたらすことはないだろうと発言。AIは誰でも利用できるものになり、(差異よりも)全体的なベースラインの上昇が新しい現実だと語った氏は、人はそれでもなお、その上に特別な何かを作り上げたいと思うはずだと述べ、Larian Studiosが生み出す“違い”はそこにあると明言。AIによってLarian Studiosの仕事が奪われるようなことはなく、ただ働き方が変わる可能性があるだけだと伝えています。

情報元及びイメージ:PC Gamer, GameSpot

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