「ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット」特集の初回から第3回に掛けて、全体的な概要やタイトルの出自、作品を取り巻く批評的な周辺情報を多めにご紹介してきました。
第4回となる今回の特集は、趣向を変えて「ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット」のゲームプレイにのみ焦点を当て、作品の背景やストーリー絡みの情報を一切排し、メカニクスやシステムに関するディテールを網羅的にご紹介します。
■ 参考:「ディスコ エリジウム」特集のリンク
- 第1回:傑作と謳われた「ディスコ エリジウム」は何が特別だったのか、発売当時の現象を改めて振り返る
- 第2回:「ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット」の基本的な概要と魅力、日本語版のインプレッション
- 第3回:THE WIRE/ザ・ワイヤーから共産党宣言まで、「ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット」に影響を与えた作品について – 前編
- 第5回:「ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット」における“スキル”とは何か?
- 第6回:「ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット」の最も奇妙なシステム“思考キャビネット”について
- 第7回:「ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット」に登場する個性的な登場人物達と主要な勢力
- 第8回:「ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット」のオープンワールド環境と名所について
- 第9回:「ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット」に影響を与えた作品について – 後編
- 第10回:「ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット」の作品世界“エリジウム”と政治ビジョンクエストについて
特集第3回の刑事ドラマにまつわる下りで解説した通り、「ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット」は様々なタイプの刑事をロールプレイすることができ、分かりやすい一例として『THE WIRE/ザ・ワイヤー』のマクノルティや『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』のラスト・コール、『ザ・シールド ルール無用の警察バッジ』のマッキー、『ツイン・ピークス』のクーパー捜査官をご紹介しました。
こういったロールプレイに基づく主人公像は、主に会話の中で生じる選択と結果によって形成されていくわけですが、「ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット」には、主人公のベースとなるシンプルで必要十分なキャラクター作成システムが用意されています。
まずは、主人公を形作るアビリティやステータス、得意スキルの構成を見てみましょう。
■ 主人公を構成する各種要素
「ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット」のキャラクター作成において、主人公は過去の記憶をほぼ全て失った人物であることから、“名前”を設定する項目はありません。
キャラクター作成時における主人公の構成要素は、4種類のアビリティと各アビリティの数値、64種もの中から1つだけ選択できるシグネチャー・スキル(得意とするスキル)のみ。
これを予め組み合わせ、それぞれに大きく異なるゲームプレイが楽しめる3種類のアーキタイプが用意されているほか、プレイヤーが自らアビリティ値の割り振りや得意スキルの選択を行うカスタムキャラクターの作成も可能です。
まず、主人公の身体的な特性を示すアビリティは以下の4種となります。
■ アビリティ4種の概要
- 知性:知力。論理的に考える能力で、頭のよさを示す。
- 精神:感受性や心の知能。自分と他者におよぼす影響力の強さを示す。
- 肉体:体つきのよさ。力強さを示す。
- 運動能力:五感と体を動かす能力。動きのしなやかさを示す。
キャラクターカスタマイズ時における各アビリティの数値は、最小値の1から最大6まで調整でき、最大で8ポイントを自由に割り振ることが可能。このポイントを全て消費する必要はなく、ロールプレイのために全アビリティ値1の極端なキャラクターを作成することもできます。
これら4種のアビリティには、多彩なスキルが属するカテゴリとしての役割もあり、アビリティの数値を上げることで、各アビリティに属するスキルの能力を高めることができ、レベルアップ時に利用できるスキル強化等と併せて、多種多様なタイプのビルド構築を楽しむことができます。
また、アビリティのうち、肉体の値は主人公の“体力”に、精神の値は“気力”のベース値として設定されます。肉体への直接的なダメージやきつい精神的ダメージ等によって、体力と気力のどちらかが0まで低下するとゲームオーバーになってしまいますので、カスタムキャラクターの初回プレイ時にはご注意ください。
一方、予め用意されたアーキタイプ3種の構成は以下のようになっています。
■ 主人公のアーキタイプ
- 思想家(知性は高いが、人付き合いは苦手):知性[5]、精神[1]、肉体[2]、運動能力[4] – 得意スキルは“百科事典”
- 神経質(魅力的だが精神が不安定):知性[1]、精神[5]、肉体[4]、運動能力[2] – 得意スキルは“内陸帝国”
- 肉体派(拳で全てを解決する脳筋タイプ):知性[1]、精神[2]、肉体[5]、運動能力[4] – 得意スキルは“手と目の強調”
■ 主人公の人格を形作る“スキル”
前述の通り、知性や肉体といったアビリティは、それ自体がスキルのカテゴリでもあり、各アビリティに6種の異なるスキル(全24種)が用意されています。
これらのスキルは、「ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット」最大の特徴とも言える“主人公の内なる人格の断片”を擬人化したもので、ゲーム中の様々な場面で発生するスキルチェックの成否に影響を与えるほか、スキル自身が主人公に語りかけてきたり、時にはスキルどうしでやりとりする、あたかも脳内会議のようなシチュエーションまで発生します。
スキルそのものの詳細と面白さについては、次回の特集でご紹介しますので、今回はシステム的な仕組みを見ていきましょう。
これは上掲したスクリーンショットの一部を拡大したものです。上段から4つの行で知性[5]、精神[1]、肉体[2]、運動能力[4]のアビリティが並び、その右側に各アビリティに属する6種のスキルが並んでいるのが分かります。
また、各スキルにはレベル値が存在し、スキル名の右隣に現在のレベルが数字で記載されています。(例:一番左上の“論理”スキルは現在レベル5)
アーキタイプの選択時、もしくはカスタムキャラクターの作成時に設定された各アビリティの値は、それぞれに属するスキル6種のレベル値となるほか、同じ値が各スキルの学習上限値(スキル名の上部に記される◇の数)として設定されます。
知性の行を例に取ると、ここでは知性の値が5であるため、知性に属するスキル6種のベース値が全てレベル5となり、◇で示される学習上限は5になるはずですが、このキャラクターの場合は“百科事典”が得意スキルに設定されているため、得意スキルの効果により“百科事典”スキルのレベルが+1の[6]となっているほか、知性関連スキルの学習上限が全て+1され、◇枠が[6]に増加しています。
本作のスキルは、レベルアップ時に獲得できるポイントを消費し強化できるため、この場合の“論理”スキルを例にとると、ベース値[5]と学習上限値[6]により最大でレベル[11]まで強化できるわけですが、実際のプレイ時には、この値に装備品や思考のボーナスが反映され、最終的な能力値が決まることになります。
参考までに、肉体アビリティのスキルを見てみると、肉体のアビリティ値がそのまま6種のスキルに反映され、得意スキル等の影響もないため、全てのスキルレベルが2、同じく全ての学習上限が2となっていることが分かります。
ということで、アビリティの数値とスキルの強化、装備品と思想による補正を活用すれば、比較的簡単に高いレベルのスキルが手に入るのですが、「ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット」の面白いところはスキルのレベルが単に高ければ高いほど良いというわけではないところです。
例えば、あれこれ興味深い雑学や知識を教えてくれる“百科事典”スキルは、高レベル過ぎると過剰なおしゃべりでプレイを阻害しますし、他者との力関係で優位に立つことができる“権威”スキルは、高レベルになりすぎると他者の敬意を強く求めすぎ、適切でない対応を促す助言を連発したりする場合があります。(それはそれで最高なのですが)
また、第1回の特集でもご紹介した通り、本作はスキルチェックの失敗が愉快な結果をもたらす場合も多々あり、ロールプレイを追求し始めるとステータスの優秀さが全てではない、驚くほど奥が深いキャラクターカスタマイズの沼が待っているわけです。
これは、ゲーム開始冒頭において、相棒となる刑事キム・キツラギと合流し、その後主人公が目覚めたカフェテリアの店主と会話している最中のスクリーンショットです。
「ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット」の大まかな画面構成を見てみると、中央に主人公、画面左下に主人公とキムのポートレート、画面右下にメニュー関連のUIが並んでいます。
画面の右半分を縦に占めているのが、ダイアログに用いられるテキストエリアで、ここではスキル“修辞学”が脳内で語りかけてきていることから、“修辞学”のポートレートが表示されています。
第2回の特集でご紹介した通り、本作には英語の原文で115万~120万ワード規模に達する膨大な量のテキストが用意されていて、文字を読むことがプレイの大半を占めています。
主人公やNPCの台詞が中央配置の横長ボックスに切り替え表示されるタイプのよくあるUIで長文を読むのはかなり苦痛ですが、本作のダイアログは、一行当たりの文字数が割と少ない縦長のボックス形式にデザインされており、一見目立たないながらも、Twitterに近い感覚のUXで長文をすいすい読むのに驚くほど最適化されています。(ZA/UMは、この読みやすいダイアログボックスの開発にかなりの手間とリソースを割いたと説明していました)
また、テキストサイズの変更オプションも用意されており、小さな文字に苦戦する方も安心してゲームをプレイする(読む)ことができます。
コントローラーによる「ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット」の操作は、概ね一般的なもので、左スティックで移動し、決定ボタンで調べる対象をインタラクトするほか、メニュー用のボタンがあり、方向キーやスティックの押し込みにアイテム使用等の機能が割り当てられ、前述した縦長のダイアログは右スティックで任意にスクロール可能です。
一点だけ、操作周りの独特な仕様に、調べる/会話する/取るといったインタラクション対象の選択があります。本作では、周辺に存在するインタラクト可能なオブジェクトや人をハイライトする機能があり(PS版だとデフォルトでL1)、調べる対象を右スティックでターゲッティングした上で、決定ボタンを押す必要があります。
このターゲッティングは、対象の方向へスティックを再度倒すことで次の対象に遷移するのですが、インタラクション対象が狭い場所に集まっている場合には、目的の対象を見落とさないよう、適宜ハイライト機能を利用しながら確認を行うのがよいでしょう。
こちらは、画面右下に配置されたUIです。左から“スキル”、“インベントリ”、“ジャーナル”、“思考キャビネット”メニューのアイコンが並んでおり、メニューを開いた際には左右のトリガーで前述したメニュー間の切り替えが可能です。
中央からやや右にまとまっているのが、ゲーム内の簡単な情報で、四つ葉のクローバーのようなアイコンと共に表示される“26.23の”数字は、舞台となるマルティネーズ地区の通貨“リァル”を示す、つまりは現在の所持金です。
その右に大きく配置された“11:11”は現在の時刻、午前11時11分であること、右端の“Day2”はゲームプレイ開始から2日目であることを示しています。
L3とR3の押し込みに対応しているのは、左右の手に持ったアイテムの使用で、ここではナイロン袋とバールのようなものを所持していることから、使用不可となっていますが、タバコや酒、薬物といったアイテムを左右の手に所持しておけば、任意のタイミングでこれを消費し、摂取することができます。
画面右下に配置された主人公のポートレートの上部には、プレイヤーのヘルスに相当する“体力”(オレンジ)と“気力”(青)の値が横長のバーで表示され、その上に十字マークと数字、方向パッドのキー割り当てが用意されています。
色つきのバーは、主人公の体力が2、気力が2であることを示していて、このどちらかが0になると主人公が死亡し、ゲームオーバーとなります。
これを回復するためのUIがバー上部の十字マークで、この場合は体力回復アイテムを1、気力回復アイテムを3所持しており、危険な場合には左右の方向パッドで所持分の回数のみ回復が行えるわけです。
体力と気力へのダメージは、会話中やオブジェクトのインタラクト中に発生しますが、ダイアログを読んでいる最中でも問題なく回復でき、回復アイテムも比較的容易に入手できるため、極端なアビリティ振りでなければそれほどシビアなプレイは必要ありません。また、一日の終わりに、宿で休めば“体力”と“気力”の両方が全回復するので、無駄に回復アイテムを消費する必要もありません。
■ 舞台となる“マルティネーズ地区”のマップについて
「ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット」の舞台は、レヴァショールと呼ばれる都市の一部である非常に小さな地区“マルティネーズ”で、第1回の特集でご紹介した“1区画RPG”のアイデアをすっかり実現するような非常に小規模な地域が探索可能なマップとして用意されています。
本作のマルティネーズ地区の屋外は、オープンワールド環境として構築されていますが、建物の内部等に移動する際には、短いローディングをはさみ、小規模な屋内マップに遷移する仕組みとなっています。
本作のマップは、屋外全体を横断してもせいぜい数分(実際にコの字型に横断して確認したところ、3分程度)という、非常に小さなオープンワールド環境ですが、コンテンツの密度は恐ろしく高く、海外ではしばしば「サイバーパンク2077」や「ウィッチャー3 ワイルドハント」、「The Elder Scrolls V: Skyrim」といった作品に匹敵するような品質のオープンワールド環境だと賞賛されています。
これが「ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット」のインベントリ画面で、プレイ中に入手した衣装やアイテムを複数のスロットに装備することができます。
主人公の装備スロットは、全部で10種(帽子、眼鏡、ジャケット、首、シャツ、手袋、パンツ、靴、左手、右手)。加えて入手した鍵を自動的にまとめてくれるスロットと銃弾用のスロットが用意されています。
衣装だけで8スロットもあることから、様々なオシャレを楽しむことができる一方、大量に存在する衣装には、それぞれに異なるスキルの補正効果が設定されており、衣装の組み合わせによって特定のスキルを大きく強化することが可能です。
所持品は“道具”と“衣類”、“アイテム”、“インタラクト”に自動で分類され、所持品の整理に悩まされることもありません。
また、“インタラクト”に分類される所持品には、書籍や手紙、メモ、証拠品等が含まれており、インベントリメニューから直接調べることで、様々な情報を得ることができます。
「ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット」のストーリーと殺人事件の捜査、主人公の自分探しは、主に“マルティネーズ地区”の住人達と会話することで進行します。
ゲームの展開は大きく分けて1日単位で区切られ、主に朝8時頃から夜9時頃まで相棒のキムと共に事件の捜査や聞き込み、地区の探索を行い、夜9時以降は相棒のキムと一旦分かれて宿で就寝(回復)、もしくは夜の街を単独で行動することが可能です。
休息時以外のゲーム内時間は、ダイアログ内の会話でのみ進み、操作の放置や屋外/屋内エリアの移動、ローディングを挟むエリア遷移等で時間が進むことはないので、思う存分時間を掛け、ゆったりとプレイして問題ありません。
また、時間を先に進めたい場合はインベントリのインタラクト内に分類される“本”を読めば、あっというまにゲーム内時間が過ぎてしまいます。(※ 前述した単独行動時のみ、ベンチに座ることでも時間を進めることも可能)
ゲーム全体の進行については、メインクエストやサイドクエストをひとまとめに扱う“タスク”システムが用意されており、住人達との会話を通じて、怪しげな調査から人捜し、尋問など、多種多様かつ大量の“タスク”が得られます。
獲得した“タスク”はジャーナル画面に全て追加され、タスク毎に進捗の詳細やヒント、すべきことが分かりやすくまとめられるほか、無事解決に至ったタスクは完了済みの項目に分類されます。
また、本作にはレベルアップの要素があり、会話を通じてしばしば少量の経験値が得られるほか、前述した“タスク”を完了することでより多くの経験値が入手できます。
獲得経験値が100に達すると主人公がレベルアップし、スキルポイントが1つ得られますが、レベルアップに必要な経験値は常に100で固定されており、会話やタスクを通じて得られる経験値も一定のペースで決まった量が獲得できることから、いくらレベルアップしても成長のペースが落ちることはありません。このレベルアップはスキルポイントの獲得のみに関係することから、本作には(レベル1やレベル100といった)プレイヤーレベルの数値自体がそもそも存在していません。
ゲームプレイを通じて獲得したスキルポイントは、“スキル”の強化、または後述する“思考キャビネット”のために使用でき、獲得後すぐに消費せず、ポイントを貯めておくことも可能です。
スキルについては、キャラクター作成の項目である程度ご紹介しましたが、ここでは前述のスキルポイントを利用したスキルの強化について簡単にまとめておきます。
キャラクター作成の項でご紹介した通り、本作のスキルは4種のアビリティに紐付けられており、この数値に基づいてスキルのベース値と強化可能な学習上限が決まります。
上掲したスクリーンショットを例にとると、知性に属する“論理”スキルは、知性ポイントが[5]であることから、現在のスキルレベルが[5]、学習上限が[5]となっています。レベルアップを通じて得られたスキルポイントを5つ全てこのスキルに使用すると、論理スキルは現状のベース上限である[10]まで強化可能です。
一方、精神に属する“意思力”スキルは、精神値[1]に基づき、現在のスキルレベルが[1]、学習上限が[1]です。学習上限を超えて“意思力”のレベルを強化することはできないので、スキルレベルは最大で[2]までしか上げられません。この状況で“意思力”を[2]以上に強化するには、装備品に付与されたスキル補正や後述する“思考キャビネット”の特典、ドラッグや酒の摂取を利用するほかありません。
なお、スキルのレベルが上がると、スキルチェックの成功率が上昇するだけでなく、会話中にスキルが勝手に口をはさんでくる機会が増えます。
余談ながら、本作のプレイ中にインタラクト可能な環境オブジェクトや主人公の思考が“丸いオーブ”で表示されることがあります。
ここではグリーンと黄色のオーブが確認できますが、グリーン以外の色で表示されるオーブは、アビリティのカラー(知性[水色]、精神[紫]、肉体[赤]、運動能力[黄色])と連動しており、インタラクトした際に対応する色のアビリティに関係するメッセージやアビリティに属するスキルとの対話が生じる場合があることを覚えておくと良いでしょう。
個性的すぎるスキルと並んで、本作の最も変わったシステムがこの「思考キャビネット」です。
これは、文字通り様々な“思考”(考え方やイデオロギー、思想、マジックリアリズム系の超自然的な何か、記憶等)を収めておくための脳内キャビネットで、最大12の思考を収めることができる枠が存在しており、初期枠を超える数の枠を利用するためには、スキルポイントを消費して枠そのものを個別にアンロックする必要があります。
本作の“思考”は、それぞれに用意された固有のテーマやトピックに応じたスキル強化や学習枠増等を含む多彩なボーナスに加え、マイナス効果、さらには幾つかの特殊な効力(中には会話に影響を与えるものも)を付与する要素で、一部のFallout作品における“Trait”のような、一長一短のあるシステムを想像してもらえれば分かりやすいでしょうか。
個々の“思考”は、会話やインタラクトを通じて“思いつく”ことで利用可能となりますが、この時点では考えが主人公に根付いていないため、一旦“思考キャビネット”の枠にしまい、一定時間研究することで、はじめて考えが身につき、ようやく本来の効果が得られることになります。
また、思考キャビネットで思考を研究している間は、固有のボーナスやマイナス効果が付与され、研究が終了した段階で本来のボーナスに置きかえられます。
“思考”の面白いところは、研究が終わるまで得られる効果の詳細が分からないことにあり(もちろんネットで検索すればすぐに分かるわけですが、初回プレイで調べてしまうとお楽しみがだいなしです)、スキルポイントを効果が明白なスキル強化に使うか、予想の付かない思考のために枠を増やすか、この悩みが本作に興味深い非効率さをもたらす要因の一つとなっています。
なお、一旦習得してしまった“思考”を別の思考に置きかえたい場合や、スロットから外したい場合は、スキルポイントを消費して忘れる必要があり、1度忘れてしまった思考は2度と有効化できないのでご注意ください。
「ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット」の奇妙きてれつな“思考”の数々は、本作の愉快な要素の一つでもあり、システム面以外の面白さについては今後の特集で改めてご紹介する予定です。
これまで、長々とご紹介してきた様々な要素は、そのほとんどが会話中に生じる“スキルチェック”のために存在していると言っても過言ではありません。
主人公作成時のアビリティ、これに基づくスキル値、スキルの強化、装備品に付与されたボーナスの選定、思考ボーナスの取捨選択、プレイヤーが取った行動や会話の選択、薬物や酒、タバコの摂取、こういった要素が全て“スキルチェック”の成否に影響し、ゲームの展開を左右することになります。
本作のスキルチェックは、2個の6面サイコロを振り、出目で成否が決定する2D6のダイスロールで、1のぞろ目は失敗確定、6のぞろ目は成功確定ですが、スキル値が高ければ高いほど成功率が高くなり、プレイヤーの行動や選択が成功率に影響するケースもあります。
また、本作にはサイコロを振らないパッシブチェックも存在しており、こちらもスキルレベルが成否に影響します。パッシブチェックは、会話中にスキルが口をはさんでくる確率に関係しており、スキルがあれこれ喋るだけではなく、まれにタスクが発生するケースなどもあります。
一方、サイコロを含むアクティブなスキルチェックは、赤い文字で判定されるレッド・スキルチェックと、白文字の判定となるホワイト・スキルチェックの2種に分類され、レッド・スキルチェックは1度のみ挑戦可能ですが、ホワイト・スキルチェックは失敗したあとでも一定の条件を満たせば再挑戦可能になります。
挑戦可能なホワイト・スキルチェックについては、ジャーナル内のマップメニューに名称や難易度、チェック対象スキル、場所、対象人物等を含む詳細が分かりやすくまとめられていますので、細かく覚えておく必要はありません。
ということで、「ディスコ エリジウム ザ ファイナル カット」のシステム的なディテールに焦点を当てた第4回の特集はここまで。次回の第5回は、影の主人公とも言える「スキル」にスポットを当てて、あれこれ掘り下げてみたいと思います。
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かたこり( Twitter ):洋ゲー大好きなおっさん。最新FPSから古典RPGまでそつなくこなします。
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