6月9日にFacebookでのローンチを迎えたZyngaの新作「FrontierVille」、本作はボルチモアに構えるZynga Eastの処女作で、ゲームデザインはかつてのシド・マイヤー氏の右腕としてアルファケンタウリやコロナイゼーションを手掛けたブライアン・レイノルズ氏が担当しています。
近年のGDCやDICEでは判りやすい程に勝ち組のオーラを放っていたソーシャルゲーム開発勢ですが、まだその勢いは衰えていない様子で、9日にローンチされたばかりの”FrontierVille”がなんと2週間足らずで500万人のアクティブユーザーを獲得したと発表しました。
新タイトルFrontierVilleは同社の重要タイトルFarmVilleに酷似したタイトルで、西部開拓時代を新たな舞台にお馴染みの農場シミュレーションを軸にした物。ソーシャルゲームらしく、フレンド等の他プレイヤーとの関わりが重要な本作ですが、ブライアン・レイノルズ氏はインタビューにて「このタイトルではプレイヤーは誰があなたを支援しているか簡単に知る事が出来る様になった」と述べており、本作のゴールがソーシャル経験の質を改善する事だと発言しています。
所謂Villeゲームでは多く存在するプレイヤーの小さな世界が有機的に繋がり、まさにバーチャルな生態系とも言える依存関係が成立しており、今作での爆発的な勢いとソーシャル要素強化の方向性は、マネーゲームとブライアン・レイノルズ氏自身がプレイヤー化した広義な意味でのリアルシミュレーションとも取れる様な側面も見られ、日本進出も秒読み段階の今、ますます動向には注目する必要がありそうです。
なお、今作の開発はZynga Eastの16人が数ヶ月で完成させた物で、開発規模はかつてFarmVilleを開発した時よりも大きな投資だとの事。Zyngaとブライアン・レイノルズ氏に興味がある方は今年のDICEに登場したレイノルズ氏のソーシャルゲーム開発に関する記事をご覧になってみてはいかがでしょうか。
ユトレヒトのデザイン学校Utrecht School of the ArtsとMonobanda、Metagamaが協力し、ゲームデザイナー達が行うブレインストーミングを支援する為のカードゲーム「Game Seeds」が制作されました。これはカードに描かれたゲームを構成する要素を様々組み合わせる事によって、新しいアイデアを生み出したり、整理したりと言ったデザインの重要なプロセスをカードゲームを通じて楽しく学べるという物。
このGame Seedsが世界的なロンチを果たし、10ユーロで販売が開始されました。これに併せて本ゲームの解説映像が公開されました。この映像がもう悶絶する程に可愛らしい!ぼっこぼこの人形がゲームデザインやカードゲームのルールについて説明してくれますが、もう間と顔が素晴らしすぎて内容が頭に入らない!というか判ってない約1名のおざなりなイェエエエエ!が素晴らしいテイストを生み出しています。
“Sam & Max”のマックスのおざなりさや、セサミストリート、そしてジョー・スパークスのラディスカルとデビルドール等がストライクの人にはきっとたまらないはず!
また、キャラクターの可愛さのみならず、この”Game Seeds”のカードに描かれたゲームの構成要素が非常に興味深い内容となっています。下記のシンボル一覧(※ 画像をクリックすると大きな図で確認できます)では、”探す”、”教える”、”守る”、”組み立てる”、”交換する”、”逃げる”、”戦う”などゲームを構成する基本的な要素が非常に理解しやすいイラストで描かれており、ブレインストーミングを進めていく作業がとても楽しく進められそうなシンプルで洗練されたアイデアに満ちています。
昨日アメリカのホワイトハウスが知的財産被害などに関する長期的な計画を発表し、FBIにおける著作権侵害の調査や抑制をさらに強化する事を明らかにしました。
発表を行った知的財産執行調整官を務めるVictoria Espinel氏は、映画・ゲームを初めとする著作権侵害の対策強化を前提に、現在5人存在する知的財産専門のスタッフに加え、2010会計年度内にFBIのIP専門の特別捜査官を50人以上雇用する計画がある事を明らかにしました。
2008年ブッシュ大統領時代に知的財産執行調整官のポストが誕生して以降、年を追って体制強化が図られてきた米国の著作権侵害に関するFBIの動きですが、今回の大きな拡大を以て数十兆円規模とも言われる著作権侵害の被害に一定の効果を期待したい所です。
なおE3の運営やESRBレーティングの管理などを行うEntertainment Software AssociationのMichael Gallagher社長はこの体制強化について、国外の市場も含め産業の成長に重大な決定であると強く評価する意向を明らかにしています。
Eidosのモントリオールスタジオが開発を進めている「Deus Ex : Human Revolution」、トリプルAタイトルとしての期待値、そしてウォーレン・スペクター氏が作り上げた初代の高い完成度などから、かなり大きなプレッシャーがのし掛かるタイトルである事が容易に想像できます。
しかしE3でのプレビューやリーク映像などからはEidosモントリオールが予想以上のDeus Exを作り上げている事が垣間見られ、さらに大きな期待と注目が本作に集中しています。
そんな中、7月末には本作のスクリプトが完成する予定である事をプロデューサーのDavid Anfossi氏がVideoGamer.comに語り、スクリプトが電話帳にも似た巨大な物で、なんと20万行を超えるボリュームである事を明らかにしました。
ウォーレン・スペクター氏率いるIon Stormが開発を行い、Eidosがパブリッシャーを務めた2作のDeus Exは、ユニークで懐深いゲームシステム以外に、知的で注意深く織り上げられたダイアログの高い完成度でも知られており、今作のリードデザイナーを務めるJean-Francois Dugas氏はモントリオールチームがこの遺産に応える為に努力していると語っています。
Dugas氏はこの難度の高い開発について「魔法のレシピは無い」と語り、専門的なリードライターの存在こそがこれを解決するただ1つの方法であると述べ、リードライターのMary Demarle女史がこれに大きな役割を果たしている事を明らかにしました。
Mary Demarle氏はMystシリーズやSplinter Cell: Conviction等を手掛けたベテランのライターで、過去のDeus Exの全てを調査し、非常に細かい所までこだわった作業を重ねているとの事。
上海のブレードランナー的な街並みやオブジェクティブに対する多くのアプローチなど、既に所謂Deux Ex的な要素を上手くリメイクしている気配が見られる今作は、初代Deus Exの25年前が舞台とされ、ナノテクノロジーやUNATCO結成、そしてDenton兄弟の誕生前夜が描かれるとされています。初代Deux Exを超える素晴らしいタイトルの誕生が実現される事になるか、期待して完成を待ちたいと思います。
1967年にRalph H Baer氏が開発したBrown Boxの登場以来、ビデオゲームが誕生して早40年が過ぎ、現在は第7世代のビデオゲーム時代とされています。各世代毎に様々な流行や人気メーカの隆盛と衰退、そして世代交代が行われてきました。現在の第7世代ではハードウェアや映像技術の表現も格段に進化し、モーションコントロールや3D技術など大きな変革の時代を迎えています。
そんな近年のゲーム産業の中で、ゲームのトレンドを自ら創出し多くのフォロワーを産むオリジナルとも言える17社のデベロッパを海外情報サイトのGames Thirstが選び発表しました。並んだデベロッパと代表的なタイトルを見れば確かに納得の布陣で、とても興味深いラインアップとなっています。
3DSの発表と豊富なラインアップでE3で大きな注目を集めた任天堂ですが、海外メディアのVenture Beatにて任天堂の岩田社長が近年世界的な経済状況などと併せて囁かれるゲームセールスの低迷について発言、「私はビデオゲームのセールス低迷を世の経済状況を理由にすべきではないと確信している」と語り、「セールスの低迷は誰もが購入したくなるような偉大なソフトウェアが不足している事に違いない」と分析しています。
岩田社長はさらにこれが任天堂だけの問題ではなく、ビデオゲーム産業全体の問題だとのべ、「結局の所フレッシュな”何か”が産業を成長させる」と大きな自信を覗かせ、任天堂の重要な取り組みが魅力的なゲームを作り、年末にそれを十分に売る事と述べました。
Xbox 360でリリースされるモーションコントロールシステムの”Kinect”、この技術を開発したのはイスラエルのPrimeSense社で、先日は同社がKinectの人体認識の制限がソフトウェア的な物である事をアピールしたニュースをお伝えしました。大きなポテンシャルを秘めたPrimeSense社の技術ですが、どうやらPrimeSense社はマイクロソフトの提携とは別に、PCとTVに利用可能なモーションコントロールシステムのリリースを計画している様です。
これはPrimeSense社のVPを務めるAdi Berenson氏が明らかにした物で、2011年夏にセットトップボックスのリリースを目指し、既に1社ケーブルプロバイダとの契約にサインしたと発言しました。
このセットトップボックスはKinectと同様に2つのカメラを利用し、3D空間にユーザーの位置を認識する機能を実現した物ですが、Kinectに見られる音声認識部分はマイクロソフトが開発を進めた箇所との事で、3D空間でのユーザー認識以外の機能は実装されない見込みの様です。
今週火曜日に中国文化省が8月1日から実施される新しい条例を発表、未成年を不健全で堕落的なコンテンツから保護する事を目的にした内容で、中国国内のオンラインゲーム企業に強い規制を強いる物になっています。
文化省はぞっとするような残酷で不健全な内容を禁止し、未成年者を不適当なゲームから守る施策を展開していく必要があると述べ、性的な表現やカルト、迷信、ギャンブル、暴力などが描かれたオンラインゲームが全て禁止される事を明らかにしました。
なお、不健全な内容の定義は示されておらず、デベロッパやパブリッシャには未成年者のゲームプレイ時間を制限する技術を開発するように要求しています。
さらに、これに併せて未成年者の仮想マネーやアイテムの売買がいずれ禁止される事も記されており、オンラインゲームに実名登録の義務付けが実現化しそうな状況も併せ、中国のゲーマーは今後かなり厳しい制限の時代に突入する事となりそうです。
これはMad Catzが新しく発売するTournament Edition FightStickのケンバージョンのイメージです。アートワークはメルボルンのアーティストBossLogic氏が手掛けた物で、25キャラクター25種のスティックがリリースされます。
用意されたアートワークにはスーパーストリートファイターIVのキャラクターのみならず、ユリアンやアレックス、ユンとヤンやロレントまで用意されており、きっとお気に入りのキャラクターが見つかる筈。
しかしその中でも一人異様な仕上がりを見せているのがケン!最近ではキモの座ったイライザに支えられ、すっかり良いパパキャラになりつつあるケンですが、殺意の波動を思わせる邪悪なイメージに思わず格好いい!と唸った一枚です。
この映像はアリゾナ州のフェニックスに居を構える映像プロダクション”meltmedia”が制作した短編映像作品「アート・オブ・アナログコンピューティング」、もし○○だったら……という単純なモチーフですが、キュートでユーモア溢れる微笑ましい作品に仕上がっています。
ローディングやメール、Twitterなどのアイデアも素晴らしく、思わずあるある!となること受け合いです。
いよいよリリースまで2ヶ月と迫った期待のシリーズ続編「Mafia II」、本作に期待する前作からのファンは戦闘やゲームのシステムと同じくらいに気になるポイントとして街の生活感や雰囲気などを挙げるのではないでしょうか。
オールドカーのデザインやPLAYBOY誌との提携、さらに40~50年代の楽曲が約120曲用意され、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団によるスコアも収録されているというMafia IIの街を流す様子が納められた直撮映像が登場しました。後半はミッションを進める様子や車両のドライバー視点でのプレイも収められており、興味深い映像となっています。本作が気になっている方が雰囲気を掴むためには必見!の動画と言えそうです。
これはcezkid氏が作成した2Dキャラクターを3D風に回転させたgifアニメーション作品です。完全に出オチですが全員一気に廻ってると可愛くて仕方がない!しかし廻るだけでリアルに見えるから不思議!
先週ロサンゼルスのコンベンションセンターにてTHQが投資家向けの説明会を行い、その中で今後の主力タイトルのラインアップとリリース時期を明らかにしました。
資料からは板垣氏率いるヴァルハラの新作「Devil’s Third」と、先日アナウンスされた”Draksiders 2″のリリースは2012年の予定である事が記されています。
さらに資料からKinect/Move/Wii対応のエクササイズとトレーニング用タイトル”UFC Trainer”の存在が明らかになっています。Electronic ArtsやUbisoftなど有名各社がモーションコントロール対応のエクササイズタイトルを発表しており、会場ではこれらと競合するタイトルになる事が発表されています。
本日放送されたNBCのトーク番組”Late Night With Jimmy Fallon”にTreyarchのコミュニティマネジャーを務めるJosh Olin氏が出演、ベトナムが舞台となる”Slaughterhouse”ミッションのデモが行われ、司会のJimmy Fallon氏がヘリをコントロールする様子などが放送されました。
Jimmy Fallon氏の拙い操作が逆に効果的だった事もあり、E3のデモンストレーションなどではあっさりと倒されていた敵ヘリとの戦闘シーンがかなりの迫力で映像に収められています。何というかやはりCoDは華がある!といった感じでしょうか。しかしみんなテンション高いwww
以前、コミック版「Kane & Lynch」のリリース決定と、ケインとリンチのナイスなデザインをお届けしましたが、先ほど素晴らしく良い顔の二人が描かれたカバーアートが登場しました。
DCのWildstormレーベルから出版されるこのコミックは、ベテランのIan Edginton氏がライターを務め、コミックはダークホースやDCで活躍中のChris Mitten氏が担当、カバーアートはDead SpaceやSilent Hillを手掛けてきたBen Templesmith氏が手掛けています。
なお、コミック版「Kane & Lynch」の第1巻は8月4日発売予定となっています。これは楽しみ!
第3のCall of Dutyタイトルデベロッパとして知られるSledgehammer Gamesの公式サイトがとうとうオープンしました。サイトにはまだ少しの情報しか掲載されていませんが、でかでかと”Call of Duty FPS game”の文字が記され、SledgehammerのCoDタイトルがやはりFPSタイトルである事がこれでもかとアピールされています。
なお、以前もお伝えした求人募集がここでも行われており、今後の動向に注目が集まります。なお、Sledgehammer GamesはかつてVisceral GamesでDead Spaceを開発していたGlen Schofield氏とMichael Condrey氏により立ち上げられた新しいスタジオとしても注目が集まっています。
国内版が若干騒がしい事態になっている「Just Cause 2」ですが、本作に登場するタイやラオスなどでタクシーとして利用されている可愛らしい3輪自動車”トゥクトゥク”の無料DLCが海外版のJust Cause 2に本日登場する事が明らかになりました。対応プラットフォームはXBLAとPSN、そしてSteamとなっています。
もうどっから見てもおかしい!そのロケランはおかしい。と盛大につっこまざるを得ない素晴らしいトゥクトゥク!格好&可愛いいすぎる。Avalancheの突き抜け具合は本当に素晴らしいですね……!
6月18日からいよいよ正式サービスが開始されたゲームストリーミング或いはクラウドゲーミングサービスの「Onlive」、クライアントからの操作を基にクラウドなサーバ側でゲームを実行、映像を圧縮しストリーミング配信するという夢のようなサービスですが、タイトルラインアップや料金体系、そしてインフラ品質やレイテンシ(ラグ)等の問題から懸念されるプレイアビリティが、実際にはどのようなクオリティで運用開始されたのか、多くのゲーマーから、そしてビジネス的な意味でも大きな注目が集まる期待のサービスです。
18日の正式運用開始と共にNDAも解除され、その全容がようやく見え始めてきました。今回は運用開始以降に公開されたOnliveの利用レビューやフォーラムの情報等を基に、そのサービスの現実的なアウトラインをまとめてお知らせしたいと思います。
まずOnliveのクライアントソフトのサイズはMac版とPC版共に8MBしか無く、セットアップも標準的な物。インストール後に起動するとまずデフォルトブラウザが立ち上がり、そこから改めてOnLiveを起動すると新しいウィンドウでOnlive本体が起動する事になります。ブラウザはIEでもFirefoxでも動作する事が確認されている事から近年のモダンブラウザであれば動作については問題なさそうです。
起動時にはいくつかのIPにリクエストを行っており、診断ルーチンを経て複数あるサーバの中から自動的に最適なサーバを選択している様です。
ストリーミングのデータサイズは700~900k/秒前後で、1.5Mbpsの回線であれば一先ずストリーミングサイズはクリアと考えられ、データサイズの理論値だけを考えれば、ある程度のADSL回線でもプレイ可能なサイズだと言えそうです。
さらにベータ時の情報ですが、クライアントが使用するメモリサイズは平均的に60MB程度で、実行するゲームによって可変するものの、多い瞬間でも71MB程度だったとの報告がされています。さらにCPUの利用率はCore i7-860で4~7%と、やはりクラウドサービスの恩恵が大きく数値として表れた結果になっています。
気になるラグについてはサンフランシスコ周辺の恵まれたプレイヤーは14ms程度に収まっている様子。OnLiveの公式情報によるとデータセンターは1000マイル(約1600km)をカバーしており、データセンターからの距離によって生じるラグは地域によっては40msを越える箇所も発生しているようです。
なお、14msは14/1000秒ですから60fps程度のゲームであればネットワークに依存するレイテンシは1フレーム以内となる訳ですが、実際にはサーバ側でのプレイヤーの入力処理と映像の圧縮アルゴリズムが数ms加えられ配信が行われる事になります。
また北米では契約プロバイダによってOnLiveサーバまでに経由するホスト(traceroute)もボトルネックになる可能性が挙げられています。
さらに、現状ではWi-Fi接続がサポートされておらず、ユーザー側で色々と工夫する事で無理矢理Wi-Fiプレイを行う事は可能なもの、数msのjitterが発生する事から有線接続でないとOnLiveは起動できない制限が設けられています。この辺りはiPadなどでのプレイデモが行われている事からも、いずれサーバ運用の状況を見ながら制限が解除される可能性もありそうです。
実際のプレイ感については液晶モニタが最初に登場した頃のレイテンシが気にならない程度であれば、ほぼ問題無いレベルと評価されていますが、今もブラウン管でプレイする0レイテンシに慣れたプレイヤーにはやはり違和感が無いとは言えないようです。
しかし興味深い事に実際のプレイ感ではBatman: Arkham AsylumやBorderlands、F.E.A.R. 2といった3Dタイトルの方がプレイしやすく、World of Goo等のカジュアルタイトルでマウスカーソルのトラックが必要なタイトルなどの方が返ってプレイに違和感を感じるとの報告も見られています。
OnLiveでストリーミングされるゲームの映像は720pで、ローカルで動作させた同じタイトルと比較をすれば明らかな圧縮による劣化が見られます。こちらも先ほどの例と同じくWorld of Goo等の2Dタイトルの方が劣化を感じやすく、動きが激しい3Dゲームの方が映像の劣化を認識する事が難しいとされています。
また、多数のタイトルで確認できる事として、ゲーム側の映像設定は最大で行われてはおらず、サーバ側で設定バランスが決められており、デフォルトセッティングで動作しているタイトルが多く見られる様子です。
ここまで挙げてきた内容の数値的な評価を並べていくと、日本国内からではベータテストへの参加も出来ずしばらく身近なサービスとは言えない事もあり、やはり想定通りのサービスといった印象を受けます。先日お知らせした価格設定についても、GOGやSteam等で見られるセールを考えれば少し躊躇する絶妙な金額設定だと言えます。
しかしこれらの問題をトレードオフとしてもなお魅力的なOnLiveのメリットは、まず1つにハードウェアの制限から放たれる事にあります。最新のAAAタイトルを旧式のPCやMACでも簡単にプレイでき、かつ気になる最新タイトルが3日間5ドル程度の費用でレンタル期間以外の制限が無い状態で楽しむ事が出来る事、トレンドを押さえておきたい社会人ゲーマーにはかなり魅力的なメリットだと感じられます。
またMacユーザーが最新のゲームをプレイできる事も大きなメリットと言えそうです。また今後Linuxクライアントなども登場する事になれば、最早OnLiveが1つのプラットフォームとして認識される可能性さえ出てくるかもしれません。
正式運用を迎えたOnLiveですが、いくつかの問題も抱えています。一見小さなブラウザクライアントプログラムとして動作しているかに見えるOnLiveですが、MacではMass Effect 2がプレイ出来ない問題が発生(ブートキャンプを利用すれば可能)しており、今後のタイトルでも同様の問題が発生する可能性があるのではないかと議論されています。
もう一つの側面はゲームタイトルはあくまで”レンタル”であって、プレイヤーが所有権を持たない事でしょうか。実際に利用する際には、プレイヤー側に思考の転換が必要になると考えられますが、Steamが登場した時にも同様のパラダイムシフトが発生したように感じます。
OnLiveの運用モデルは近年のマイクロトランザクションモデルの採用などが見られる映像コンテンツビジネスなどが近いのかもしれません。払った分映像を見るpay-per-view方式のビジネスモデルでは利用者はDVD等の物理メディアを所有するという期待値を持ち合わせてはいないと言えます。
また、OnLiveの登録にはリージョン毎の登録者数制限が設けられており、既に登録者に対して承認待ちが発生している状況にあります。クオリティを保持しながらサービス規模を拡大させる事も今後の課題1つとなりそうです。
PCゲーマーであれば多くBotを登場させた時のフレーム落ちや大量の爆発エフェクトが起こった際の処理落ち等パフォーマンスの上下を体感した事が少なからずあると思いますが、OnLiveではサーバ側でゲーム処理を行っている事からプレイ中のパフォーマンスの上下が発生しません。
さらにウィンドウサイズはリアルタイムでリサイズ可能でタスクを切り替えるだけでゲームは完全にポーズされます。近年のトリプルAタイトルなどで、フルスクリーンプレイ中に別のタスクに切り替えられない状況などを経験した方も多いと思いますが、あのモニター前から離れられない非占有感から完全に解放されるのも大きなメリットと言えそうです。
さらに大きなメリットとしてデモ版のプレイがとにかく容易に、そしてクリーンに行える事が挙げられます。例えば”Unreal Tournament 3″のデモ版をプレイしようと考えれば、プレイヤーはデモ版のファイルを探す事から始め、ダウンロードを行う必要があります。UT3のサイズは758MBですが、Batman: Arkham Asylumなど、ギガサイズのデモ版も近年は多く見受けられます。
10~30分程度をかけてダウンロードした後にはセットアップが必要になります。インストールに5分、コアなPCゲーマーの場合にはほとんど無いと思われますが、DirectXやらにPhysX、ランタイム関係のインストールが並行して必要な場合も多々存在し、ローカルの環境に依存する問題に出くわすプレイヤーもやはり多く見られます。
これがOnLiveでは全くなんの用意もなく、まさに言葉通り”すぐ”にデモのプレイが可能です。インストールとアンインストールの手間もなくローカルのPCはクリーンなままです。さらにMacにはUT3のデモ版は存在しません。このインパクトはかなり大きい様に感じられます。
また起動メディアの不在とDRMの悪夢から解放される事も非常に大きなメリットと言えそうです。
上記で挙げてきた事を総合し1ゲーマ視点から考えると、やはり圧倒的な手軽さというメリットとゲームプレイのクオリティに見られるトレードオフをどう捕らえるかに尽きると言えそうです。
常に最新のハードウェアを調達し最高のスペックでゲームをプレイする事を楽しんでいるプレイヤーへのメリットは薄そうですが、カジュアルゲーマーながら話題の最新ゲームも気になるといったプレイヤーには選択肢の1つと言えそうです。
さらにOnLiveの機能として他プレイヤーのゲームプレイを鑑賞するモードが用意されており、いつでも気に入ったタイトルのプレイ映像を閲覧する事が可能です。デモ版のプレイと他プレイヤーのプレイ鑑賞を組み合わせればタイトル購入前の検討材料としては非常に有用であると考えられます。
またこのプレイ鑑賞にはソーシャル要素も盛り込まれており、鑑賞中のユーザーをフレンド登録したり、応援を送ったり、また鑑賞中のプレイヤー数が表示されたりと、近年ニコニコ動画などで見られるプレイ動画コンテンツとして楽しめる要素も持ち合わせています。
北米でサービスが開始されたOnLiveですが、来年にはヨーロッパへと進出する事がアナウンスされています。残念ながらアジアでのサービスなどについてはまだ語られていませんが、そう遠くない未来に日本国内でも類似のサービスが楽しめる時代がやって来る事は間違いありません。その大きな指標として今回のOnLiveローンチは私たちにとっても興味深い出来事だと言えそうです。
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